同人誌を値切るとかその発想は無かった

瀬戸物とかそんな単語が見えたので、美濃焼の産地からエントリをお届けしたいと思います。

そもそも、バックグラウンドが違うのではないでしょうか。

しかし,作り手と直接やりとりできる場である「瀬戸焼き物市」では普通に値切る.(この「瀬戸焼き物市」というのは,全部が全部作り手が直接店を出しているわけではないけれど,一部作り手が売ったりもしている)

焼き物市と同人誌即売会、前者と後者とでは大きな違いがありますよね。前者は完全な「商業活動」ですが、後者は「同人活動」です。商業活動はお金を得る事が目的ですが、後者の同人活動だと、「物を作って販売する」という行為自体が目的である場合が多いです。

  • 前者: プロが物を売る「商業活動」
  • 後者: 自分の作った作品を、世に出してみたい。商業活動の真似事をしてみたい(原価割れする場合が多いけど)。

勿論、例外はあります。焼き物市では、個人で窯を持っている人が手作りで、採算度外視で直接売っている場合もありますし、同人誌即売会では大手や企業が儲けている場合もあります。ですが、前提が金儲けかであるか、そうでないかには、大きな違いがあると思います。
同様に、

極端な話,たこ焼き屋だって作り手と直接やりとりできる場であるわけだけれど,3パックぐらい買ったら,「ちょっとおまけつけてくれない?」って言って,3つぐらいおまけしてもらうのはそれほど非常識に感じない.(たこ焼きだって丹精込めてつくったものだし,先の人々の理屈で言うと,非常識で作り手の失礼ならしいけれど)

このたこ焼き屋の例についても「たこ焼きを売る」という商業活動が前提な訳ですから、値切るのも、ある程度なら問題ないと、私は考えます。

プロはプロとして、アマはアマとして。

同人誌を値切る話色々より、

物品購入時に値切ることは一般的に何も悪くない。交換交渉するのは当然。

確かに、これ自体を評価しようと思ったらtrueなんですよね。そして

条件(後がつかえてるとか値切らせないことで販売コスト下げてるとか)次第で空気読むべき

これも筋は通ってます。
しかし、「自己満足の活動とはいえ、赤字覚悟でやってるサークルが多くある、という知識を買い手が有している」のでしたらどうでしょうか*1
例えば、商品一つ数万円のプラモ系の即売会だったとしたら、値引きしたくなる気持ちは分かります。しかし、一冊たかだか500円〜1000円の物で値引きするのはどうなのでしょう。そして、その価格設定自体も、「お釣りをやり取りする必要が無い価格」という事で設定されているものです。そこで値引きとかやった日には、周りから白い目で見られても仕方ないのではないでしょうか。

あと同人誌に極端な思い入れのある人もいるようだけど、これじゃ手作り工芸品の即売会とか立場ないがな(笑)

農家とか自作の農産物に対して愛情もクソもないみたいなことになってしまうので、価格交渉や販売価格を下げる行為にあまり大げさな意味を見いださないで欲しいなー

愛情なり苦労なり込めて作ったものを、そりゃー高く買ってくれたら嬉しいが、価格交渉に応じるかどうかは関係がないよなー。

私は、高価な手作り工芸品は商業活動よりも同人活動に近い性質があると思うのですが、しかしこれも価格が高いですよね。価格が高ければ、やっぱり値切りたくなってしまう・値切らざるを得ないのではないでしょうか。
そして野菜については、農協が工業品のようにJAが持っていって下さるので工業品っぽいよなぁ、と思ってしまうのですが……
無粋な事言うと「野菜って一日で駄目になっちゃったりするから、二束三文でも売れちゃえばいいんじゃないのかなぁ。家出食べる分・売る分抜いて余ったのを売ってるのが殆どだし」と。「同人誌だって、在庫抱えてたりするじゃねーか、だったら値引いても良いだろ」っていう話も出てくるかと思いますが、それはまた後ほど。

よっしゃ、以下は感情論だよ!だよ!

つか,値切って欲しくないなら(値切りにくる客との交渉を楽しめない人は),「値切り禁止」って書けばいいのでは?

同人界隈って馴れ合いみたいなものだと思うんですよ。そして、その中には色んな「常識」があると思います。ジャンルの中ではサークル同士繋がってたり、お客さん同士もそのサークル行き来してそのサークルの繋がりとか雰囲気とかを知ってたり。そして、同人全体だったら「小さいところは、原価割りしてるよね」「500円玉大量に持っていかないと!」とか。だから、同人活動って心地良いのだと思います。相手が、自分の事分かってくれているのですから。
そして、同人即売会で、作者と顔をあわせて作品を買うってのは、ファン活動としての面が大きいんじゃないでしょうか。アマチュアで頑張って活動している人を、応援したい!一目見てみたい!っていう感じで。
そんな中、500円や1000円のものを値切るというのは、無粋なんじゃないでしょうか。そして勿論、値切り禁止なんて書くことも。そして、「どーせ在庫残るんだから安くしろよ!」ってのは「安いから買う」とか「買う側だから偉い」といったニュアンスが含まれている気がしてしまいます。
ただ、最近オタクってものの裾野が広がりつつあります。即売会の参加者も増えてきており、上に挙げたような「前提」を知らない人・理解してない人も多くなってきています。やはり、サークル側・運営側がある程度対処するしかないかもしれませんね*2

以上

  • プロとアマと違うよね(金を儲けるのが目的か、活動自体が目的か)
  • お互いに、暗黙の了解とかが多かったよね、同人界隈
  • 売り手と買い手対等だよね、場合によっては売り手の方が崇められてる位。
  • でも、最近それが通じない場合も出てきたね

という感じで。

追記

経過をまとめて下さっている方がいらっしゃったので、ここに追記します。
「値切り行為」についてのあれこれ:まとめ - #の唐倶利ブログ

追記2

個人的に、一番腑に落ちたエントリがありましたので、ここで紹介させて頂きます。
「負けてもらう」ことと「買い叩く」こととはちがう。 - N.S.S.BranchOffice

*1:そんな前提持ってるわけが、と思われる方もいらっしゃると思いますが、同人誌即売会に数回程度参加しただけの私ですらこの事を早い段階で知っていたので、それなりの常識だと思います、この界隈では

*2:まあ本音としては「んな事も分からんような奴が来るんじゃねーよ」ってなもんだと思いますが。