アニメDVDは高いのか?
円高が進んで「アニメDVDたけーよ、ukのDVD安過ぎ*1」と話題になったりだとか、「アニメが衰退?高杉だからだろ*2」っていう論調でいつも語られてるんだけれど、本当にDVDって高いんだろうかなあとか思ったので計算してみました。
勿論、業界関係者でも何でもないし、経済専攻でもないので間違いだらけだと思いますが……
結論としては
多分、そんなにボられてないとは思います。DVDだけでアニメの制作費を回収すると考えれば、現在のアニメDVDの価格は妥当じゃないでしょうか。
DVD一本あたりのコストを考えてみる。
流通費やDVDプレス代は予想がつかないので、アニメの制作コストのみから計算したいと思います。
某アニメ会社の流出資料によると、アニメ制作会社*3に降って来る金は、声優さんのギャラ、作画、彩色等全部コミコミで一話辺り1千万程度*4みたいなので、これを基準にしてみたいと思います。
これにDVD一巻3話入りで考えると、1巻あたりの製造コストは1*3で3,000万円。二話入りなら2,000万円。これをDVDの売り上げで割れば、1巻あたりの妥当な値段が出てきますよね。
ペイするラインを考えてみる。
DVDの売り上げに関するサイトを見てみたりすると、巷*5で言われる「DVDの二期制作を決めるラインは5,000本」というのはあながち間違いじゃないことが分かると思います。という訳で、5,000本売れる事を見込んで作ったと仮定してみましょう。
3,000(万円) / 5,000(本) = 0.6(万円)
という訳で6,000円。つぎに、1クールものに多い1巻2話入りのDVDの場合も考えてみます。
2,000(万円) / 5,000(本) = 0.4(万円)
大体DVD一本辺りの相場ですよね。この設定では
- ヒットと言われる本数(5,000本)DVDが売れると仮定
- パッケージング代、広告代を考慮せず
とか素晴らしい程の楽観的予想を立てているので、本当はもっとシビアなもので、DVDの売り上げだけじゃなかなか回収して利益出すのは難しいんじゃないでしょうかね。そう考えてみると、アニメグッズがやたらと展開されるのも頷けます*6。売れたアニメはグッズも売れるしガッツりグッズで回収、というとこでしょうか。
製作委員会方式
製作委員会方式についても考えてみます。昔はテレビ局がドラマやニュースと同じようにテレビ局が金出してアニメを作っていたのですが、近頃はテレビ局がアニメ制作に関わってない事が多く、いわゆる製作委員会方式が主流となっています。これについてはwikipediaに詳しく載っていたので詳細は省きますが、簡単に説明すると
- スポンサーが複数集まって金を出し合う => 製作委員会結成
- 深夜アニメの枠を買う => CM枠は放映作品の関連グッズなど
という感じです。つまり、アニメの放映自体がアニメDVD・グッズの販売促進目的のものとなっているんですね。これにより、数億掛かるアニメというプロジェクトをリスク分散して作ることができる、と。
逆を言ってしまえば、アニメのコンテンツそれ自体で視聴率バンバン稼げるんだったら"CMで稼げる=その時点でアニメ制作費はペイ"となり、DVDでコスト回収する必要がありません。事実、ゴールデンタイムのアニメは深夜帯のものと比べて比較的安価です。これは、海外向けアニメDVDでも同様で、国内で費用回収は終わってるから安く売る事ができるのでしょう。
まとめ
- 深夜アニメは放映費含め、DVD含めたグッズで全て制作費を回収しなければならないので、価格は高くなってしまう
- 視聴率を稼げるアニメならば、DVDで費用回収する必要がない=>DVD安くなる
つまり、アニメDVDの値段が高いのはニッチ市場向けの作品だからと言えるでしょう。一般受けするような作品を作っていけば良いのでしょうが、それはきっと多くのアニメファンが求めるものにはならないでしょうね。
何か間違い・補足等ありましたらお気軽にどうぞ。id:y_arimさんみたいな、業界に精通した視点から書けなくてすいません!><
*1:http://www.lifehacker.jp/2009/01/amazon_uk.html
*2:http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY200905040063.html
*3:制作:アニメを実際に作成するスタジオの呼称。衣がつく「製作」は、金を出したり企画するところ。後述
*4:ただ、これは少ない方だと思います。ゴールデンタイムのアニメとかは、多分2〜3倍は出てるんじゃないかなあと希望的観測込みで思います
*6:アニメのグッズとかって、ねずみパークよりも高いですよね