割賦制度について考えてみる

禿てr…じゃなくて、SoftBankMobileが割賦制度(ローン)を始めたのがきっかけで、各社割賦制度の導入を本格的に検討し始めている。
一時期は「ケータイは0円」というのが常識になってりしたのだけれども、この気軽に買える端末の値段設定が顧客の激しい流動化を招き、キャリア側としても悩みの種の一つとなっていたのだろう。

思い出してみれば、J-PHONEが輝いていた時代は「携帯機種変≒解約; 新規契約」というのが当たり前だった。
当時は一年縛りと呼ばれる「一年間契約してくれていたら、基本料金値下げするよー☆」というサービスが多く(今でもあるけどね)、代替端末それ自体も一年経つとフルモデルチェンジしているから「一年に一回メールアドレス、電話番号変更メールを一斉に送る」というのが常識だった。*1

その時から比べると、今は気軽に端末を機種変更しづらくなってしまった。
J-PHONEVodafoneに買収された後、ハッピーボーナス(俗称:アンハッピーボーナス)が二年縛りの割引サービスとして開始され、殆どのショップで「何も言わなければ自動でハピボ付、端末の店頭表示価格はハピボを付けてないと跳ね上がります」という、ちょっとエグいやり方で顧客の固定化を狙い始めた。
説明無しでハピボが有効になっていて、解約時に揉めるというのが多く発生し…というのは、当時良くあった話だ。

そこで、キャリアは打開策を考えたのかどうかは分からないが、「ローンという形にして、端末の契約は端末の契約、回線の契約は回線の契約にしちまえばいいんだ!」と現在の割賦精度が始まったように感じられる。
確かに、これならば端末の値段と別表示で「月々たったの980円」と表示できる上、解約されても端末の値段を2年間支払わす事が可能だ。
そもそも、2年間端末の値段を支払わされるのならば、そのキャリアに居残る人が圧倒的多数だろう。
ユーザ側から見れば最悪なこの割賦制度も、キャリア側から見れば「美味しいところ取り」だ。

しかし、「新しい端末ほど良い」という風潮は「新サービスは新端末のハードウェア的な対応が必要」というものが背景にある。
勿論、それを作り出したのはキャリア側だ。
そして、現在も「ハードウェア的対応が必要な新サービス」というものは出続けており、そのサービスを受ける為にはとても高い機種変更代金を払わなければならなくなっている。

では、何故端末側の自由度を上げて、柔軟に新サービスに対応出来るようにしないのか。
それは、「端末の自由度を上げてユーザに端末の機能を解放してしまうと、コンテンツによる収入が無くなってしまうから」だろう。
例えば、mp3を着メロとして使える携帯は世界各国で多く出ているが、日本ではWillcom端末位しかない。また、無線LAN搭載機なんてもっての他だ。
パソコンでは「無料が当たり前」「自分で簡単に作れる」のが当たり前のmidiや壁紙といったものでさえ、課金されている携帯独自の市場を守る為には、自由度の高い端末を出す訳にはいかない。

このような理由より、端末の制限は掛かる一方、そしてキャリア側の都合により端末は高額商品化が進んでいるのが現状である。
こんな状況で、これ以上の携帯市場が発展していくと思えないのは私だけだろうか。

これから、キャリア側が取るべき道として、私が思いつくものは2つ。

1.Willcomのように実質「回線のみ提供」でペイするような体制を造っていく

これならば、端末の自由度が高い物を出されても全く問題は無い。
キャリアとは切り離して、他のコンテンツ提供会社と同じ土俵でコンテンツ収入"も"得ていく。

2.現在のキャリアと同じく、回線提供とサービス提供が一緒になっている体制を貫く

このままだと、ユーザ側の不満が募っていき、市場は先細りしていってしまうのではないか。
例えば「モバゲー」や「mixi」のように、公式キャリアコンテンツでないものにパイを取られてしまい、コンテンツ収入を目当てにしていると痛い目に遭う。


ただ、これは理想論であり、現在の様子をみてるとそうそう簡単に体制を変えられる訳でもない、か。
でも、単にPCでエンコードしたファイルを携帯に取り込んで使えるようにしただけで「リス○登場!」と言って宣伝するのは虫酸が走る。
ハードウェア的には、古い機種でもHE-AACデコード出来るわけだから、ファームウェアアップデートなりソフトウェアアップデートなりで対応するのは可能じゃないか。

というか、割賦制度で端末それ自体を商品として売り出すのならば、その「端末の商品のサポート」をきちんとやるべきだろう。
それをやらずして、割賦制度導入なんて、おこがましい。

参考
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0709/12/news077.html

*1:私が中学〜高校の頃の話なので、当時社会人の方にはピンと来ないかもしれない