新興宗教ツイッター教

僕はツイッターでは大人気の@hoge-fugaだ。毎晩ツイッターでコミュニケーションして、いわゆるネット充だ。

@ne-yo なにそれこわいwww
クソワロタwww RT: デマ・ワトソン(via @utu-da)

学校ではtween、家では夜フクロウ、移動中はiPhone 3GSで日夜twit。ブームは数時間単位、数十分単位で来て去るから、片時も目を離せない。
そんな僕も学部4年生になって、非常に困ったことになっている。就職活動。ふっと息を吹きかけられたトランプ・タワーのようにボロボロボロと崩れてくれやがったアメリカ企業。売り手市場から一転、吹きすさぶ不況の風に、僕たち就活生はタンブル・ウィードのようにコロコロコロと転がっていく。
「やっべー、もう持ち札ねーよ……後一社だよ……。」スーツの上着を横に置き、コーヒーを片手に公園でしょんぼりしていると、白い糸が見える。

スーツの糸、なにこれこわい
@ne-yo それしつけ糸。なにそれ恥ずかしい(///)

しつけ糸ってなんだ!僕は慌ててiphoneぐぐると、つけっぱなしだと恥ずかしいらしい。きっとそれで落ち続けていたんだ。僕はコーヒーを飲み干し、しつけ糸を犬歯で噛み切った。ぢくり。歯茎にひっかけて、血が出てしまった。本当に今日はついていない。


「ところで、君はヒウィッヒヒー、失礼、twitterはやっているかね?」
「……え、はあ、やっていますけれど。」
やばいやばい、ふと意識が飛び、今日の献立の事を考えてしまっていた。肉じゃがのレシピは後でぐぐろう。
「なるほど。ちなみに、君のフォロワーは?」
「え、ええ、450人ほどですが。」
「450!なんと!君採用だよ。採用。もう採用!」
眉間に皺を寄せ、ブルドッグのような顔をしていた社長は、ぱああとにこやかになり、ベルトの上肉をぽんぽんぽよんと揺らしながら小躍りをしはじめた。
「え、えええ、え?」
「いやー、わが社はtwitter採用というのをやっていてね。フォロワーが多ければ多いほど社内では優遇しているんだ。新入社員のボーダーは200。君はなんと余裕じゃないか。採用だよ。おめでとう!」
僕の手を握りぶんぶんぶううんと握手してくる社長。ぴっかりと頭光るの専務も僕に抱きつき「さいよーう!採用!さいよおおおお!」なんてお祭り騒ぎ。どうやら僕は就職活動が終わったらしい。その安堵感でポロリと涙が零れてきて、またそれが勘違いされて、気づいたら今度は胴上げをされていた。


そして数ヶ月後、僕は会社に居た。「仕事は?」と先輩社員に聞くと、先輩は「まずtwitterのフォロワーを増やして、君のファンを増やすことからだ。」なんだ、いつもの生活と変わらない、これで新卒手取り25万も貰えるならちょろいものだ、と僕は机の上でヒップホップを踊り出しそうになる気分を必至に抑えながら

うはwww会社での仕事がtwitterをやるだけだってさwwww

とtwitした。


数日後、ついに新入社員に対して、どんな業務なのか説明が成された。
「君たちにはひたすらtwitterの普及と、twitterのフォロワー数を元としたヒエラルキーの構築を目指してもらう!twitterのフォロワー数こそまさにコミュニケーション能力の証拠!これを基として世界を作りかえる!そして、行く行くはヒウィッヒヒー政党の設立と日本経済、世界経済のの掌握を目指すんだ!」
長々と演説をしているうちに新入社員はヒートアップしていき「ハーイルtwitter!ハーイルヒウィッヒヒー!」なんて叫び出すものだから、僕もだんだんと興奮しゆき、「よっしゃー俺がこの会社で!ここから世界を変えてやる!変態ポストでどんどんフォロワーを増やして世界の頂点に立ってやる!」なんて叫んで集会の様子をtsudaりながら携帯百景に画像をうpしたら、一週間後に会社は吹っ飛んで僕は路頭に迷ってしまった。

お断り

この文章は完全にネタであり、実在するtwitterやそのユーザにはなんら関わりがありません。
なお、この文章は以下のポスト、及びエントリにインスパイヤされたものです。