Unixerが非オタの彼女にUnixの世界を軽く紹介するための10 OS/ディストリビューション

いんすぱいやーどばいhttp://anond.hatelabo.jp/20080721222220
まあ、どのくらいの数のUnixerがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「Unixerではまったくないんだが、しかし自分のOSへのこだわりを肯定的に黙認してくれて、 その上で全く知らないUnixとはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、Unixerの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、Unixのことを紹介するために見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「入門Windowsガイド」の正反対版だな。彼女のWindowsを否定するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、金銭的に過大な負担を伴う商用Unixは避けたい。
できれば、現在でも実用で使われているUnixにとどめたい。

あと、いくらUnixerに基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
パンチカード時代からのUnixerが『Minix』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。

そういう感じ。

彼女の設定は

Unix知識はいわゆる「GNU/Hurd」的なものを除けば、見たこと位はある
OSは自作しないが、bootloaderを作るのには抵抗が無い

という条件で。

まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。

FreeBSD

まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「4.3BSD以前」を濃縮しきっていて、「4.3BSD以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。*BSDだし。
ただ、ここで*BSD信者全開にしてしまうと、ドザーとの関係が崩れるかも。
この情報過多なOSについて、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、Unixer側の「真のハッカー能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。

NetBSD

アレって典型的な「カーネルハッカーが考える昔堅気のUnixerに受け入れられそうなOS(そうNetBSD Foundationが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「Unixerとしてはこの二つは“ソースコードの美しさ”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

OpenBSD

ある種のセキュリティオタが持ってるセキュリティへの情熱と、OpenSSH開発元というオタ的なこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも
「童貞的なださカッコよさ」を体現するLinus
「童貞的に好みな女」を体現するOpenBSD Foundation
の二勢力をはじめとして、オタ好きのするキャラ(ストールマンとか)を世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。

Gentoo

たぶんこれを見た彼女は「*BSDだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
ソースパッケージのディストリビューションがその後あまりリリースされていないこと、これがGeekの間では大人気になったこと、*BSDなら話題になって、それがFreeBSDに輸入されてもおかしくはなさそうなのに、Linuxの他ディストリビューションでこういうのがつくられないこと、なんかを非Unixer彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

Debian

「やっぱりUnixは子供のためのものだよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「Puppy Linux」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるGNUの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでもisoが21ファイル、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもオタ的だなあと思えてしまうから。
Debianのイメージの多さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれが*BSDだったらきっちりい1ファイル以内にしてしまうだろうとも思う。
なのに、各ミラーに頭下げて迷惑かけて21ものisoファイルを作ってしまう、というあたり、どうしても
GNUを形作ってきたものが捨てられないUnixer」としては、たとえIan Murdockがそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。ディストリビューション自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。

Slackware

今の若年層でSlackware使っている人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
Debianよりも前の段階で、GNUの哲学とかLinusの精神とかはこのディストリビューションで頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティのディストリビューションオープンソースでこの時代に開発されていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくUnixerとしては不思議に誇らしいし、いわゆるバイナリパッケージシステムでしかLinuxを知らない彼女には見せてあげたいなと思う。

CentOS

サーバ向けディストリビューションの「安定」あるいは「ディストリビューションづくり」をUnixerとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「完全有償化したRH氏ね」的な感覚がUnixerには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそサーバ向けディストリビューションCentOS以外ではあり得なかったとも思う。
「RHなディストリ使いたいけどRH買えない」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「OSはフリーであるべきだ」の源はCentOSにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい

Fedora

これは地雷だよなあ。KernelがCoreを吐くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういうRedHatの特攻隊風味のディストリビューションをこういうかたちでリリースして、それがUnixerに受け入れられるか
気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

Ubuntu

9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にUbuntuを選んだ。
FreeBSDから始まってUbuntuで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、Live CDインストーラの先駆けとなったディストリビューションでもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいいOS・ディストリビューションがありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。

「駄目だこのUnixerは。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。

書き終えて

穴だらけ。本当に矛盾だらけ。
でも、頑張った。私頑張った。
色々宗教論争があると思いますが、基本これはネタなので真に受けないで下さい。
ああ、でもFreeBSDは良いOSですよ。